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インフレターゲット とは  FX (外国為替証拠金取引) の基礎知識

相場FX (外国為替証拠金取引) は少額の資金で誰でも簡単に参入でき、しかも大きな利益を出すことが可能なことで近年マスコミの注目を集め、今や日本で人気の金融商品(投資法)の1つとなっています。 近年、投資人口および取引高ともに著しい増加を示し、日本のFX 市場規模は1兆円に迫る勢いです。

1990年代に日本のバブル経済が崩壊すると、日本はデフレ 不況に突入しました。 しかし、政府、日銀の デフレ 対策の遅れから デフレスパイラル の局面に至り、日本は 「 失われた10年 」 と呼ばれる長期低迷を経験します。 日銀は日本経済建て直しのためにゼロ金利政策と円安政策を図りました。

相場の変動を正確に予測するのはなかなか困難ではありますが、長期的に見れば確かに相場のトレンドには意味があることが多いのも事実です。 今回は、金融経済政策の中から、 「インフレ・ターゲット 」 について概説します。


緑 仕切り線

■ インフレ・ターゲットとは


投資035-1インフレ・ターゲットとは、「 中央銀行が一定の物価上昇率を目標として定め、通貨の流通量を増やして緩やかな インフレ を起こしてその目標値へ誘導し、経済の安定的な成長を図る 」 という政策です。

一般に、適度な インフレ は景気の拡大を促す可能性が高いと考えられていますが、インフレ 誘導の政策が失敗した場合には、制御不可能な過熱状態(バブル経済)に発展する可能性もあり、インフレ・ターゲットは賛否両論分かれています。

インフレ・ターゲットは1990年のニュージーランドで導入され、1990年代には英国、スウェーデン、カナダ、オーストラリアなどでも実施され、現在ではブラジル、チリ、メキシコ、韓国、フィリピン、タイ、チェコ、ハンガリー、ポーランド、イスラエル、南アフリカなど、20ヶ国以上で導入されています。 欧州中央銀行 (ECB) はインフレターゲットとは呼ばないものの、 「 物価安定の定義 」 としてユーロ圏では2%のインフレ率を設定しています。

投資インフレ・ターゲットを採用している国では、中央銀行に厳しいルールを課す国もあります。 例えば、英国では2%の数値目標を設定し、もし目標から上下に1%以上も乖離した場合には、中央銀行は財務相に対して説明責任が課されています。 また、国によっては目標未達成の場合、中央銀行総裁が罷免される可能性もあります。

中央銀行によるインフレターゲット政策の実施のためには、次のような方法があります。

 (1) 中央銀行が公約し、インフレ 期待感を醸成するアナウンス効果
 (2) 金融緩和政策の実施
 (3) 国債、市中債券、株式等の日銀による引受

特に、日銀の国債引受が有効であると考えられていますが、国債の日銀引受については財政法第5条によって原則禁止されています。 しかし、同条の但し書きに従って、1945年から1年未満の短期国債の引受は継続的に実施されています。 インフレターゲット政策では、さらにこの適用を長期国債にまで広げ、その資金を財政出動や減税を実施する財源とする事で、実質的に市中への通貨供給量を増やそうというものです。

FX (外国為替証拠金取引) にとっては、インフレ・ターゲットの数値目標のおかげで、金利政策発動の予測が可能です。 インフレ率が目標値上限に近づいてくると、インフレ 抑制のために 「 利上げ 」 の可能性が出てきますし、逆に下限に近づくと 「 利下げ 」 の可能性が出てくるのです。 物価上昇率 (インフレ率) の指標の1つに 「 消費者物価指数(CPI) 」 があります。 特にインフレ・ターゲットを導入している国々のCPIは要注意です。

サブプライムローンインフレ・ターゲットを採用していない国々は、日本、米国、中国、インド、ロシア、ドイツ、フランス、東南アジア諸国 (韓国、フィリピン、タイ、インドネシアを除く)、中東諸国、南米諸国 (ブラジル, チリを除く)、アフリカ諸国 (南アフリカを除く) などです。

日銀や米国の中央銀行に相当する FRB (米連邦準備理事会) は、現在のところインフレ・ターゲットを採用していませんが、物価の動向は政策金利に影響を与えますので注意が必要です。 FRBは、今後の金融政策についての市場へのメッセージを、政策金利発表後に出される FOMC (米連邦公開市場委員会) の声明などで匂わせる、という方法を取ることが多いようです。


青アクア仕切線

■ インフレ・ターゲット推進論


1990年代にバブル経済が崩壊すると、1999年頃から日本は異例のデフレに襲われました。 当初、政府や日銀は本格的な対策を取らず、不良債権処理はなかなか進まずに 「 失われた10年 」 と呼ばれる長期のデフレ不況に苦しみます。 日米の経済学者は日本政府や日銀の姿勢を強く批判し、デフレ 克服の具体策としてインフレターゲットが再三にわたり提案されるようになりました。

相場004金利政策による物価調整作用を機能をさせるためには、「 1〜3%程度の緩やかな インフレ 目標を市場に対して宣言することが重要である 」 とするのが推進派の主張です。 日銀は物価指標としてCPI (消費者物価指数) を用いていますが、「 CPIはその性質上、1%弱の上方バイアスがかかる 」 という研究報告が理論的背景となっています。 インフレターゲットの目標値としての 「 1〜3%幅のインフレ率 」 はニュージーランド準備銀行が採用しています。

日銀はインフレ・ターゲットを掲げていませんが、政策目標として達成義務はないものの、インフレ率の目安として 「 0〜2% 」 を設定しています。 

青アクア仕切線

■ インフレ・ターゲット反対論


日本のインフレ・ターゲット反対派は、以下の理由でインフレ・ターゲットの効果は期待できないと考えています。

1) インフレ が起こった後にインフレスパイラルに陥り、その制御は不可能。
2) 金融緩和政策にもかかわらず、消費や設備投資需要は増えなかった。
3) 貸し渋りも解消しなかった。
4) 日銀の国債、債権の引受でインフレを誘発する可能性。

投資029-1インフレ・ターゲットの代表国の1つが英国ですが、その目的は日本のようなデフレ対策ではなく、物価安定にあります。 物価が上昇傾向にあろうが下降傾向にあろうが、この目標値に近づけることが英国中央銀行 (バンク・オブ・イングランド) に課せられた使命です。 日本でもインフレ・ターゲットの導入を求める声がありますが、英国のように実施国の多くは インフレ 抑制のために用いていることから、デフレ 克服に対する効果は懐疑的とする意見があります。  しかも、もし景気動向と物価変動の方向が逆に動いている場合 (不況下での原料価格高騰による スタグフレーション の傾向)、取りうる経済政策の自由度がインフレ・ターゲットに縛られて狭まってしまうとの意見もあります。 

日銀は現在のところインフレ・ターゲットを採用していませんが、ゼロ金利政策、量的緩和政策や円安政策のための大幅な非不胎化介入(2003年以降)によって、外国為替市場経由で日本円の流通量を増加させたため、長期の デフレ 不況は緩やかに回復傾向に向かいました。


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